著作権の種類は?著作権を侵害したら?されたら?

著作権

前回の記事で著作物はだいだいイメージができたと思います。ではその著作物にはどういう権利があるのか、その権利を侵害したら?されたら?ちょっと長いですがお付き合いください。

著作権上の権利

ではその著作物をどうしたら問題になるのでしょうか?著作物を扱える権利のことが著作権ですが、いくつかの権利に分けることができます。(一部抜粋)

複製権

印刷・コピー・録音・録画など著作物を再製する権利です。著作物の写真を取ることも再製に入ります。本を写経するのも再製です。

上演権・演奏権

公に上演、演奏する権利です。CDの再生も入ります。公というのは不特定、または多数の場合をさします。不特定というのは一人でも不特定です。例えば公園で音楽を流した場合、誰か一人でもそこに入ってくれば公です。まぁ公園は公ですよね。でもそれはどんな場所でも同様です。

多数は「じゃあ何人以上が多数なの?」と思われると思いますが、はっきりした指標はないようです。裁判で争ってみてはじめてその場合の多数が判じられるとは思いますが、すべてに当てはまる「多数は何人か」ということはどうやら存在しないようです。難しいですね。

上映権

公に上映する権利です。これは映画に限りません。例えばパワポをスクリーンに写したり、TVで公に再生したりすればそれも上映です。

公衆送信権

ここがもっとも重要でしょうか?公衆には放送だけでなく、インターネットも含まれます。SNSだろうがブログだろうがメルマガであろうがすべて公衆になります。

譲渡権

著作物をその原作品又は複製物の譲渡により公衆に提供する権利です。ネットオークションなどが当てはまります。

貸与権

著作物をその複製物の貸与により公衆に提供する権利です。貸与により公衆に提供というのは要はレンタルのことです。レンタル屋さんはちゃんと許可を得ています。

翻訳権・翻案権等

著作物を翻訳し,編曲し,変形し,脚色し,映画化し,その他翻案する権利です。
翻訳はわかりますね。翻案は真似ることです。パクることです。盗作はこの翻案権のことになります。パロディもこれです。同人誌などもそうですね。翻案にあたるかどうか、は難しい問題です。難しいのはその線引だと思います。また、著作権のほかに商標権などさまざまな知的財産関連の法律も絡んでくる恐れがあります。

二次的著作物の利用に関する権利

他にも漫画をアニメにしたりドラマにしたりというのも翻案になります。翻案された著作物は二次的著作物といいます。この場合著作権は二次著作権者と翻案した著作物両方に著作権があります

例外規定

さて、ここまで権利をあげていきましたが、これらには例外があります。著作権はあまりがんじがらめは良くない、ということだと思います。(一部抜粋)

私的な使用のための複製

私的に(自分だけ、もしくは家族など)ならば複製することができます。あくまで私的、なので業務では複製できません。またプロテクトがかかっている著作物を回避手段をつかって複製することはできません。当たり前ですが違法な音楽や映画、漫画がネットにアップロードされている場合、それをダウンロードすることも私的複製はなりません。

付随対象著作物

写真や映像に写り込んでいる著作物は付随しているレベルということで除外されます。もちろん著作物側に迷惑がかかってはいけません。

引用

正当な範囲内で自分の著作物に他人の(公表された)著作物を引用して利用することができます。正当な範囲内というのが大事です。自分の著作物とは明確に区別ができ、主従関係(自分の著作物が主)があり、出典を明らかにしなくてはいけません。もちろん改変はしてはいけません

営利を目的としない上演等

営利目的ではなく、観客から料金を受け取らず、演者等に報酬が支払われない場合は非営利目的とされ、著作権の例外になります。

建築・公開の美術の著作物

建築物の外観、公開の美術(公園にある銅像など)はある程度自由に利用できます。写真撮影もOKです。かといってなにやってもいいわけではありません。複製して売ったりすることはできません。

著作者と著作権者

ではこの著作権は誰がもっているのでしょうか?

当たり前ですが、著作者です。その著作物を創作した人です。(映画は別です。また法人も著作者になれます)
その他に共同で何人かで創作したものは結合著作物として共有されます。例えば3人で創作した場合、その作品は3人での共有になりますので、使用許可が必要な場合は3人全員になります。

この著作権というのは譲渡、つまり売ったりあげたりすることができます。譲渡を受ければその人(法人かも)が著作権者です。

気をつけないといけないのは制作の委託をして納入したからといってそのことと著作権にはなんの関係もありません。たとえばイラストを納品したとして、著作者も著作権者もまだ創作した人が持っています。

著作者人格権

著作権は売ったりあげたりできる、と書きました。ところが著作者人格権というのがあり、これは売ったりあげたりすることはできません。つまり常に創作した人がもっている(一身専属の)権利です。この権利は大きく3つに分けられます。(一部抜粋)

公表権

公表していない、つまり未発表の著作物を公表するかどうか決めることができる権利です。

氏名表示権

著作物に氏名を表示するのかどうか、もしするのならなんと表示させるかを決めることができる権利です。

同一性保持権

著作物を変更できないようにすることができる権利です。

契約に注意

一身専属の権利がある、とはいえ確かにかならず創作した人がもつ権利なのですが、著作権を譲渡するときに契約で「著作者人格権は行使しない」という契約をしてしまうと、その契約も有効とされています。行使できなくなるので権利を持っていないのと同様になってしまいます。契約には注意しましょう。(当たり前なのですが契約というのはとても重要です)

著作権を犯したらどうなるの?

著作権を犯したら犯罪です。民事でも刑事でも、です。

民事(著作権者から訴えられる)

著作権者から裁判を起こされます。差し止め請求、損害賠償請求、不当利得返還請求、信用回復の措置が考えられます。つまり、やめてください、賠償してください、利益はこちらに返してください、謝罪記事を出してください、ということになります。

刑事(検察から訴えられる)

犯罪なので、警察に捕まって検察に訴えられます。10年以下の懲役または1000万円以下の罰金というかなり重い刑罰です。ただし、これはわざと知っていながら著作権侵害した場合のみです。

また、以前は著作権は親告罪といって著作権者が訴えないと検察は動けなかったのですが、今は一部非親告罪化されています。例えば仕事としてプロテクトを外して販売している、などの悪質なものは普通に犯罪として捕まります。

著作権を侵害されたら?

逆に言えば自分の著作物に対してこれらの権利を主張できます。

著作権を侵害されていて急いでそれを止める必要がある場合には差し止め請求の仮処分の申し立てができます。

現実的にはまず差し止め請求を相手に連絡します。応じてくれない場合は裁判所に仮処分の申し立てを行います。

次に損害賠償です。金額についてはいくつかの計算式があります。利益だったりライセンス料だったりをイメージしてください。

不当利得返還請求も考えられます。対応する民法の条文が違いますが損害賠償と同様得た利益を返してもらうものです。ただし相手のもとに残っている利益の請求なので場合によっては手続きが難しいかもしれません。あとは損害賠償は時効が3年ですが不当利得返還請求は時効10年です。

さらに親告罪として刑事告訴できます。それはよっぽどのこととは思いますが、可能です

著作権は死んでも存続するのか

著作権には保護期間というものがあります。保護をすぎればパブリックドメインとなります。これはだれでも自由に使っていいですよ、という状態です。

保護期間ですが、原則として著作者の死後70年間までです。

団体名義であったりペンネームの場合は公表後70年です。つまり生きている期間分本名で公表したほうが長いということになります。

著作権はうまく付き合うもの

クリエイターにとっては著作権は侵害する可能性があるものだし、侵害される可能性もあるものです。被害者にも加害者にもなりえます。考え方を変えれば著作権というのは味方です。

自分の権利を守ってくれて、他人の著作権は使える範囲で使えるわけです。その範囲を知らないと、著作権がとてもめんどくさいものに思えてくるかもしれませんが、この記事で著作権との付き合い方が少しでも楽になっていただければ幸いです。

宣伝

著作権などの知的財産に関するサポートを行っております。著作物の契約書の作成などお気軽にご相談ください。

ちなみに著作権には特許などのように登録制度があります。こちらについてもご相談ください。

タイトルとURLをコピーしました