クリエイターのための最低限な著作権の知識。まずは著作物を知ろう

著作権

ものづくりをしていて著作権という言葉にぶつからなかった人はいないと思います。

なにを作るにしろ自分の制作物は著作権が発生しますし、逆に著作権のあるモノや素材、ソフトウェアなどなどいろいろなモノを使わない人もいません。

もちろん著作権についてまったく無知な方はいないと思います。しかし、では十分に詳しいかと言われると「・・・」となりませんか?

著作権法は124条からなる法律です。参考

これを覚えるのは大変ですし覚えても使えなければ意味がありません。そこでここではクリエイターが知るべき著作権の最低限を抑えておきましょう。あくまで最低限です。興味が出てきた方はここを出発点としていろいろ調べてみましょう。もちろん私に質問していただければ答えられる範囲でお答えします。

著作権の対象となる著作物ってなにが当てはまる?

まずはもっとも重要な部分、著作権というからには権利の話しです。その権利はなにについて生まれるのか、といえば著作物です。では著作物とはなんでしょう?

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう

著作権法 第二条の一項

これ、第二条の一項です。これがもっとも重要な文章です。これだけ覚えればある意味最低限の知識といえます。

まず、思想や感情を創作的に表現したもの、とあります。

文芸、つまり小説や脚本、講演などの文章は著作物です

例えばですが、

「雨がふるだろう」これは思想や感情を創作しているでしょうか?あんまりしていなさそうです。

ある程度の文章のまとまりで個性が出ていればもうそれは十分著作物です。1冊の本である必要はありません。じゃあどのくらいの文章なんだ?というのは個別の案件によります。たとえば俳句は17文字ですが、十分著作物の資格はあると思います。全部が全部ではないと思いますが(法律の境界線は曖昧なものです)

イラストはたいてい著作物です。

絵はなんらかの個性が出るものです。まったく出さないほうが難しいでしょう。子どもの落書きも著作物です。また、なにかのキャラクターを真似て描いた、としても同様です。(二次著作物になります)

写真

人が写っていれば肖像権などもありますが、そんなことよりも写真はだいたい著作物です。ものすごくこだわって撮影した写真だろうが、スマホでササッと撮った写真だろうが同様です。そこに居合わせた、構図を考えた、シャッター速度や露出を設定したなどなど、写真は十分創作的です。ただし例外もあります。例えばモナリザの絵を完全に正面から撮った写真、となるとそれは創作的に表現したもの、とは言えませんよね?そう、創作的に、というのが大事なんです。

同じく映像も

例外はだいたい想像がつきますね。映画館で映画をそのまま撮影するなどしても創作的にはないのでだめです。それどころか「映画の盗撮の防止に関する法律」によって刑事罰を受けることになります。

音楽

もちろんですね。JASRACなどは有名です。音楽は作詞と作曲が主な著作物です。なので作詞家作曲家が著作権を持ちます。歌手やレーベル、楽器の演奏者は著作隣接権というちょっとややこしい話しの権利になります。

プログラム

これは認識していない人もいるかもですね。ある意味文章と同じく、十分思想や感情を創作的に表現しています。

建築

建築はイメージが湧きにくいですね。でも同じデザインのビルは作ったら駄目そうですよね?そうです駄目です。でも写真撮影などはどうでしょう?これは問題ありません。もし撮影が駄目なら映画の撮影には写っているすべてのビルに許可が必要になってしまいます。しかし、建築物もいろいろあります。例えば太陽の塔とかですね。これは美術としての著作物になりそうです。神社仏閣も当てはまります。ただ製作者の死亡後70年経てば保護期間が切れるので著作物ではあるけども保護期間そのものが切れているかもしれませんね。

図形

学術的な性質を有する図面、図表、模型その他の図形の著作物とあります。学術的というところがポイントです。以前裁判になったものに編み図があります。編み図はあくまで編み物制作のアイデアなので、著作物ではありません。料理のレシピも同様です。もちろんそれらを説明したり写真を撮ったりと著作物にすることはできますね。

舞踏

これも面白いですよね。振り付け自体が著作物です。もちろん振り付けが思想又は感情を創作的に表現しているレベルにある必要があります。なので踊ってみた、はだいたい著作権を侵害していますね。

逆に著作物に当てはまらないものも例示しておきます

なんかなんでもかんでも著作物に見えてきましたね。でもそうではありません。ここでは著作物ではないものも確認しておきましょう

ありふれた表現

そうですね、ありふれているので創作的とは認められないものは著作物ではないですね。

データ・単なる事実

これもそうです。例えば数字の羅列だけならば、それは創作的とはちょっと言えないです。円周率とかですね。もちろんこれを音楽や絵画にしてみた、とかは話しが別になります。地図は単なる地形を表したものであれば著作物ではないです。しかし、ゼンリンやGoogleマップ(以前はゼンリンでしたね)は単なる地形ではなく、色や建物、その他情報が乗っていますのでこれは著作物です。

アイデア

これもかなり勘違いしている方います。単なる思いつきや自分の想像だけのものは創作的であったとしても「表現」されていません。もしアイデアが著作物だとしたらタイムマシンや猫型のロボットは自分の小説や映画では使えなくなってしまいます。ちゃんと表現しないと著作物にはなりません。ちなみに特許も(ほとんどの場合)アイデアだけでは取れません。

名前やタイトル

例えばドラえもん、これは名称です。タイムマシンとかも名前です。他には新聞の見出しなどもこれらは著作物ではありません。

実用品のデザイン

普通のお皿が著作物としたら大変ですよね。机もそうです。では椅子は?どれもこれも実用品は著作物ではありません、基本的には。

しかし、裁判で椅子が著作物になったことがあります。美術としての著作物です。実用品とはいえそこに創作性のあるデザインってありますよね。別に意匠法という法律もあるのですが、実用的な工芸品でも著作物になることはあります。なのであくまで基本的には、と考えてください。

著作物の意味

ここまで読んでいただけたら最初の条文の意味がなんとなく見えてきませんか?

思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう

著作権法 第二条の一項

著作権で保護すべきコンテンツのガイドラインを定義し、ここらへんで線引しよう、ということです。それによって著作物を作りたい人をちゃんと保護し、他人の著作物を使いたい人が使いやすいようにバランスをとっている、それが著作権法だと思います。

著作物が固まった(?)ところでやっと著作権法の説明がスタートできます。

が、疲れたのでそれは別記事とさせていただきます。ちなみにこのブログ、この記事も著作物ですよ

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